シチリアワインの夕べ@torico
WOWWOWの放送で「山猫〜完全版〜」が放映されるというので録っておいた。名匠ルキノ・ヴィスコンティがイタリアの貴族階級の落日を、時代の変わり目の中で老貴族と新興勢力に乗っかる若者との鮮やかな対比で描いた一大叙事詩。(ああ、あらすじとか紹介とか苦手だ)
小沢一郎が民主党党首に立候補した際、この映画の台詞を引用して、演説をぶったことを覚えておいでの方もいるだろう。
そのセリフ「変わらずに生き残る為には、変わらなければならない」って僕はてっきりバート・ランカスター演じる老貴族の言ったものだと思い込んでいたけれど(小沢一郎がそう言ったかどうかは覚えがない)、先日ざっと見た限りでは見当たらなかった。アラン・ドロンは似たようなセリフを言ってたような…(汗。
なにしろこの映画、恐ろしく長いんで、いつ見ても眠くなってしまうからさ。
まあ、それはおいといて。
それよりも老貴族の言う「シチリアは2500年の間、植民地だった…(云々)…シチリアの民はあまりにも疲れ果てた…」っていう(内容の)セリフがとても印象的だった。
シチリアってそんなに貧しい土地なの?今はどうなんだろう?
そして、つい最近これまたWOWWOWで「ゴッド・ファーザー」見てしまったものだから、ますますシチリアに、その風景にさえ、哀しいようなノスタルジックなような、不思議な感情を持ってしまったんだ。
そんな矢先、僕のワインの師匠、古武士屋のミュジニイさんが「シチリアワインの夕べ」を開くと言うんで、勇んで参加することにした。場所は「torico」。友だちのうっちーがやってる焼き鳥屋。大分で飲みまくって一泊した帰りの足で直行したんで、少し疲れてたんだけど。
だけど、おいしいワインってカラダに柔らかく染みいって、癒してくれるんだな。
白、ロゼを3杯ほど飲んだ頃にはすっかり疲れがとれて、リラックス。
- Glufi / Carjcanti 2007
グルフィ / カリカンティ 2007
蜜のようなトロリとした舌触り、味わいが濃くておいしいかった。
- Vie di Romans / Dessimis Pinot Grigio 2009
ヴィエ・ディ・ロマンス / デシミス ピノ・グリージョ 2009
白ワインなのにまるでロザート(ロゼ)のような色調にびっくり。かすかに赤いベリーの香りがする。香味豊か。フリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州。
- Vie di Romans / Chiantons 2009
ヴィエ・ディ・ロマンス / チャントンス 2009
こっちはれっきとしたメルロのロザート。メルロの果実感がしっかり凝縮されてて飲み応えがある。同じくフリウリ・ヴェネツィア・ジューリア州。
うわあ、この肉うまい!こうくると、がぜん赤が飲みたくなる。>
- Passopisciaro / Passopisciaro 2007
パッソピシャーノ / パッソピシャーノ 2007
なるほど、シチリアのピノ・ノワールと讃えられることはある。旨い。ほんとはネレッロ・マスカレーゼ種。
- Glufi / NEROBUFALEFFI 2004
グルフィ / ネロブファレフィ 2004
イタリアらしい濃さとバランス、でもあくまでエレガンス。赤ワイン好きになって最初の頃は、こんな味が好きな人が多いと思う。
- Cantina Bolzano / Gewurztraminer Kleinstein 2009
カンティーナ・ボルザーノ / ゲヴュルツトラミネール クレインステイン
バラのポプリの風味と優しい甘み。うっちー手作りの素朴なティラミスとよく合う。アルト・アディジェ州。
…どれも、イタリア産じゃないみたいに(失礼)エレガント。
僕のイタリアワインのイメージが時代遅れに偏ってるのね(笑。
でも、まるでブルゴーニュのような味わいの中に、たしかにイタリアらしい骨太いコクがひそんでるような気がした。
ミュジニィさんの話では、シチリアはやはり経済的にはもともと貧しいところのようだった。今日飲んだような洗練されたワインが生産されたのも、比較的最近のことで、それとて他の土地からきた大資本が、シチリアでブルゴーニュ風のワイン造りを始めたからだ。
なんにせよ、丁寧なワイン造りが行なわれるのは、素晴らしいことだ。ワイン造りってほとんど農業なのだし、単純に考えると土地を耕すことは、必ず豊かさにつながることのような気がする。
何よりおいしいワインを味わうチャンスが僕らにも増える(笑。
僕にはワインを味わうことは、本を読むことと同じ喜び。
つまり、つかの間の旅に近しい。